デニス・テンー引退宣言から復帰しようとしたスケーターを襲った突然の悲劇

カザフスタン代表のフィギュアスケート選手、デニス・テンが2018年7月19日午後、強盗に襲われて亡くなった。

まだ25歳の若さだった。

「信じられない。信じたくない。大切な仲間の命が奪われるなんて。」

プロフィギュアスケーターである浅田真央さんのコメントが、まさに自分の心境にも当てはまった。

昨日まで、グランプリシリーズロステレコム杯のアサインにはしっかりと「デニス・テン」の名前があった。

Twitterにも「気持ちの整理がつかない」というファンの声が散見される。

そんな一般のファンやスケート関係者の方々の哀悼の声にも耳を傾けながら、デニス・テンというフィギュアスケーターのことを振り返って行きたい。

ゆっくり事実を受け入れよう。

 

とある昼下がり、彼は友人とレストランで食事をしていた。

友人と別れたデニス・テン選手は驚いた。

 

見知らぬ男2人が彼の車を物色していたのだ。

デニス・テン選手は思わず「何してるんだ?」と声をあげた。

 

それが悲劇の始まりだった__

 

暴漢2人とデニス・テン選手は口論を始め、卑劣な2人はナイフを取り出した。

彼らは無情にもデニス・テン選手の脚をナイフで傷つけ、卑怯にも逃げていった。

酷く傷つけられた彼の命はわずかな時間で奪われてしまった。

 

国の英雄たる選手のことを暴漢2人も恐らく知っていただろう。

知っていながら脚を刺したのだ。スケート選手の要ともいえる大事な脚を。

命を奪うつもりはなかったかもしれない。

しかし、明らかに彼の夢を奪う行為。許されない行為。

 

デニス・テン選手の葬儀は、彼がカザフスタンの英雄だったことを示すような国葬だった。

なぜそんな英雄が殺されなければならなかったのか。

 

4ヶ月後のロステレコム杯のアサインにはしっかりと「デニス・テン」の名前があった。

このシーズン、ロシア代表のセルゲイ・ヴォロノフ選手の振り付けまでしていた。それなのに…。

 

今、カザフスタン代表のエリザベート・トゥルシンバエワ選手が四大陸選手権銀メダリストに輝き、昨日の世界選手権女子シングルショートプログラムでも会場を沸かせる見事な演技で3位につけている。

四大陸選手権後のエキシビションで彼女はデニス・テン選手に捧ぐ追悼曲で演技を披露した。

「突然の躍進」「台風の目」といわれるエリザベート・トゥルシンバエワだが、もしかしたら彼女の躍進の裏にはデニス・テン選手の存在があったのかもしれない。

一時は引退も考えながら、現役続行を宣言し、GPSにもエントリーしていてここから躍進を遂げるはずだったデニス・テン選手の思いを、トゥルシンバエワ選手も知っていたはず。

彼女は今、叶えたくても叶えられなかった人の夢をも背負って新たなスタートを切っている。

そして徐々に客観的評価もされ始めている。

成長著しい彼女に勝てるとしたら、この背負っているものの重さに勝る覚悟を持った選手だけだろう。

 

この世界選手権2019でもメダルを掴みに行く気満々のトゥルシンバエワ選手の動向から目が離せない。

そして、天国のデニス・テン選手もきっとそれを見守っている。

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Posted by Aika